大判例

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東京高等裁判所 昭和59年(ネ)1767号・昭59年(ネ)1798号 判決

この法(編注・仮登記担保契約に関する法律。以下同じ。)は、代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約等の法形式が、金融取引、土地等取引の現実において不適正、不公平な結果を生ずることが多く、判例がこれに対して是正の努力を反覆した歴史的現実を背景として成立したものであるところ、法が五条二項の第三者に対し同項の通知をしなければならない旨規定し右通知を仮登記担保権者の義務としている趣旨・法意は、土地等の所有権の移転をすることを目的としてされた法一条にいう仮登記担保契約は、元来、右契約の相手方である債務者又は第三者(以下「債務者等」という。)に属する土地等の所有権の取得を直接・第一の目的とするものではなく、金銭債務を担保するため、その不履行があるときは右土地等の所有権を移転することを目的とするものであり、これに対し、五条二項の第三者(たとえば、仮登記担保権者の仮登記後に土地等を買い受けて登記を経由している者など)は、仮登記担保権者の仮登記に基づく本登記が経由されるときは、右仮登記の効力(不動産登記法七条二項参照)により、その仮登記担保権者との間では、自らの権利取得の効力を否定されるべき地位にあることにかんがみ、五条二項の第三者に対し、債務者に代わって仮登記担保権者にその債務の弁済をして、自己の権利を守る機会を保障するとともに、一方、仮登記担保権者が右代位弁済により速やかにその金銭債権の満足を得られるよう、その利益を配慮し、もって、仮登記担保権者と右第三者との利害の均衡・調整を図り、同法関連法条の規定と相俟って、適正公平な清算と権利関係の調整の実現を企図しているものと解するのが相当であり、また、かく解することにより、法五条二項は、法二条一項、五条一項及び三項、一一条、一五条一項等関連法条の規定の趣旨とも整合するものというべきである(なお、最高裁判所昭和六一年四月一一日第二小法廷判決、民集四〇巻三号五八四頁参照)。

そこで、仮登記担保権者は、債務者等に対し法二条一項の規定による通知をして、その到達の日から二月の清算期間を経過したのちであっても、五条二項の第三者に対して同項の通知をしていないときは、その第三者に対しては、法二条一項の規定により土地等の所有権を取得した旨を主張して、仮登記に基づく本登記の承諾の請求(不動産登記法一〇五条一項、一四六条一項参照)をすることはできないものというべきであり、また、五条二項の通知を受けていない同項の第三者は、債務者に代わり仮登記担保権者にその債務の弁済をすることができるものと解するのが相当である。五条二項の通知は恩恵的なもので、この通知をしないからといって仮登記担保権者に何らの不利益を生ずることはない旨の主張は採用できない。

(後藤 奥平 橋本)

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